
パパとママが離婚することになりました。私は東京の普通の中学生ですが、ママと一緒に北海道に引っ越すことになりそう。
でも私は転校したくありません。
東京にはたくさん友達がいて楽しいし、友達と一緒に行きたい高校も考えていたので…。
パパとママは、私の意見は聞いてくれないのでしょうか?
というか、おとなは子供の意見を聞かずに、勝手に子供の引越しを決めていいんでしょうか?
こどもは離婚の当事者ではありませんが、意見を聞いてもらうことができます。
お父さんとお母さんが、裁判所で離婚の話し合いをしているときは、「こどもの気持ちや意見を考えてあげなければいけない」という決まりがあります。このことは、家事事件手続法という法律で決まっています。
だから、こどものあなたでも、お父さんとお母さんが話し合いをする裁判に参加して、直接あなたの意思や気持ちを伝えることができます(あなたの年齢などによって参加を断られることもあるのですが、その場合でも裁判所の人には、あなたが参加したいということや、その理由はつたわります)。
でも、「じぶんも話し合いに参加したい!」ということを、お父さんにもお母さんにも言えないときもありますよね、一体誰に言えば、きちんと意見を聞いてもらえるのか、わからない人もいると思います。そういうときは、お父さんお母さんが雇っている弁護士さんに伝えてみてはいかがでしょうか。
あるいは、少しどきどきしますが、裁判所に直接行って、窓口で聞いてみるという手もあります。
弁護士さんなどに連絡できず、もし本当に困ったときは、こども法律入門の問い合わせフォームからメッセージを送ってください。
ヒント
「じぶんの考えも聞いてほしい!」という思いは、なかなか言い出しにくいこともあります。
でも子どもだからといって、決して親の所有物ではないし、一人の人間です。「意見を伝える権利がある」と言っていいのです。
その根拠になる法の一例を、掲載しますね。
①締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。
②このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。

「子どもの権利条約」というのは、世界の国々が、子供たちを守ろうと決めて結んだ約束ごとです。日本も、この条約を結んでいるので、日本中のすべての子どもたちが、自由に意見を表明できるということになります。
また、子供の言い分を聞かずに、罰を与えたり、無理矢理に手続きを進めることは許されない、ということが②に書いてあります。
家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(未成年被後見人を含む。以下この条において同じ。)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。
「家事事件手続法」は、離婚など家族の問題を、裁判所でとりあつかうときのルールです。裁判官も、弁護士さんも、このルールに従っています。
65条では、子供の意思をしっかりと聞く努力をするように、裁判所に義務づけているのです。ただ、「子供の年齢を考慮して」とありますので、たとえば18歳の意見と5歳児の意見があった場合、必ずしも同じように対応してくれるかは、状況によるということになります。


