先生に頭をたたかれました。体罰は許されるのですか?
私は大阪市の中学一年生です。
昨日、宿題を忘れてしまいました。男の先生から「また忘れたのか!」と怒鳴られました。あと、頭をゲンコツで殴られ、一時間床で正座をさせられました。
宿題を忘れたのは私なので、自分が悪いとも思います。でも、とても悲しかったので、先生のやり方は許されるのかなと思いました。
答え:体罰は許されませんが、間違ったことをくり返さないように、先生がこどもを「ちょっとこらしめる」ことは認められます。
学校教育法11条では、「校長及び教員(先生)は体罰を加えることはできない」とされていますから、あなたの頭をたたいたり、一時間も正座させることは許されません。
「体罰」というのは、しっかりと意味が決まっている言葉ではないのですが、殴る蹴るなど、こどもたちの体に害を与えることと、かたい床に長時間正座させるなど苦痛を感じさせることは、「体罰」にふくまれると考えられています。
指導のために「ちょっとこらしめる」ことができる場合。
いっぽうで、先生たちには懲戒権という権限があります。
懲戒権というのは、子どもたちを指導するときに、適切なちょうどよい範囲で、子どもを「ちょっとこらしめることができる」という意味です。子どもたちが、いきすぎたいたずらや、悪ふざけをしたり、勉強に必要な指示にしたがわないときに、バツをあたえることができるのです。
たとえば、先生が持っていたファイルで子どもの頭をたたくとか、子どもの洋服の胸ぐらをつかんで壁に押しつけるといった行動も、一見すると、許されない体罰のように見えますよね。でも、本当に許されないかどうかは、
どうして先生がそのような行動をしたのか?子どもたちの態度がすごく悪かったのではないか?といった、前後のようすも、関係あります。
つまり、先生の暴力のすべてがゆるされないというわけではなく、その暴力をしなければならない理由があったのかや、ふだんの子どもや先生のようすなど、たくさんのことを広くとらえて、「体罰」にあたるか、それとも懲戒権の実行として許されるのかを、考えるということです。
「体罰」と認定された事例。認定されなかった事例。
裁判になった事例をみると、裁判所のひとも、このような基準で判断しているようです。
小学2年生の男子たちが、何人かの女子をふざけて蹴り、それを注意した先生にも2回蹴りを入れました。
そのため先生は小学2年生の男子の胸ぐらをつかみ、その男子の体を壁におしつけて、大声で「もうすんなよ!」と叱りました。
この先生の行動は、裁判所で「体罰には該当しない」と決着がつきました。
平成29年に、公立中学校の生徒が、担任の先生やほかの先生から大声で怒鳴られたり、しつこくケチをつけられたりして、追いつめられ、自殺してしまうという事件がおきました。
この事件は、先生からの肉体的な暴力はありませんでしたが、生徒の性格を理解しないまま行われた、いきすぎた指導があったと判断されました。
ヒント
「体罰は良くない」「先生や学校が間違っている」とは、子どものあなたからは、なかなか言いにくいことでしょう。
でも、「体罰はダメ」と言えるように、きちんとした根拠を以下に載せておきますので、よかったら頭の片隅に置いておいてください。
- 文部科学省からの通知「池田町における自殺案件を踏まえた生徒指導上の留意事項について(通知)」平成29年10月20日、29初児生第28号
- 「体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)」平成25年3月13日、24文科初第1269号
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